もう……何なの!


どうして、あたしと美空ばっかりこんな思いをしなきゃいけないの。


どうして?あたし達が何をしたっていうの?



『蒼唯は、どうして自分がいじめられるんだろうって考えたこと、ある?』



まるで、悪いのは清水さんたちだけじゃないよ、とでも言いたげな碧のあの言葉。


それを思い出して、さらにムカムカと怒りが込み上げてきた。


碧のあの言葉の真意はまだわからない。
でも、みんなの前でこんなふうに美空を辱めるような人たちを助ける必要性なんて、どこにもないことだけははっきりとわかる。


「可哀想にね、須藤さん。あんたのいいところは全部頭の良さだけにいっちゃったみたいね~」


まだそのネタを引きずって楽しそうに笑う清水さんたち。


美空は耳まで真っ赤にして、目にはうっすらと涙が浮かんでいる。


こうやって人を傷つけて、一体何がそこまで楽しいのだろうか。


今すぐにでも、そのファンデーションをバッチリ塗りたくった頬をひっぱたいてやりたいところだけど、それよりも今は美空のほうが心配だ。


「そういう清水さんたちは、性格にはまったくいいところがいかなかったんだね」


だから、皮肉たっぷりにこれだけ言い返してやった。


清水さんは「はあっ!?」と明らかに眉をつりあげたけど、これ以上相手にするつもりはまったくないあたしは、美空を連れてさっさと教室を出た。