「じゃあ、あれだ。須藤さんとこっそり答えを教え合ったんだ~。須藤さん頭だけはいいもんねー!」
あたしが言い返したことに少しイラついたような表情を見せつつも、わざとらしくにこにこしながら清水さんが言う。
すると、彼女の取り巻きのひとりが美空の持っていたテストを無理やり奪い取った。
「あー!見て見て!須藤美空ちゃんは、なんと……100点ですよー!」
「や、やめてっ」
テストを掲げられてしまい、美空のテストの点数が露になる。
必死で取り返そうとする美空だけど、そのテストは取り巻きの手によって清水さんの手元へと渡った。
「ふーん。まあ、当然よね、あんた中学の時から出来る子だったもんね。その分、外見最悪だけど」
心無い清水さんの一言に顔を真っ赤にして俯く美空。その反応を見て、取り巻きが楽しそうにケラケラと笑い出す。
「ちょっ……なんてこと言うのよ!」
クラスメイトたちは、みんな自分は関係ないといった様子で見て見ぬふり。
澤田先生は、初めて見た自分の教え子によるいじめを目の当たりして戸惑い、呆然としている。
あたししか、美空を庇うことが出来る人間がいないことが、とてつもなく悲しかった。