翌日。


学校に着いて下駄箱を開けると、昨日はなかったはずのローファーが、泥だらけの汚くなった状態で戻ってきていた。


ご丁寧に返してくれたのか……。


ため息をついて、あたしはスリッパを借りに職員室へと向かおうとする。


すると。


――カタン。


「……お、おはよう。蒼唯ちゃん……」


下駄箱の扉が閉まる音がしたかと思うと、ものすごくバツが悪そうな顔の美空が立っていた。


「うおっほぁ!はよ……」


“おはよう”と返すつもりだったはずが、突然の美空の登場に驚いてしまい、訳のわからない言葉を返してしまった。


「……お、おはよ、う」


もう一度、ちゃんと挨拶をする。
と、そのあとすぐに沈黙が辺りを包む。


「……えぇっと」


美空に会ったら謝ろうと思ってたのに、不意をつかれてしまったあたしは、言葉が詰まって出てこない。


「あのっ、美空っ、その」


ごめんなさいって、昨日はごめんなさいって、言うのよ蒼唯……!


「蒼唯ちゃん」


あたしより先に美空が口を開いた。


「み、みくっ……」


「えっと……一緒にスリッパ借りに職員室行こう?」


美空がにこっと笑ってそう言った。