「きっと美空ちゃんは、蒼唯の存在にすごく助けられていると思う。でも、心にはまだ拭い切れない不安がいつもあって、それは蒼唯が力不足なんじゃなくて、美空ちゃんが蒼唯よりも臆病な性格だからなんだよ」


美空が、あたしよりも臆病な性格……。
確かにそうだと思う。
人はみんなそれぞれ違うんだ。


「蒼唯の言葉はちゃんと彼女に届いているし、響いている。でも、その言葉を受け入れるには、まだ少し美空ちゃんは怖がりなんだよ」


「そっか……。あの言葉はそういう意味だったのかな……」


あたしみたいに強くない。


あれは、あたしは強いから平気でしょうという意味ではなくて、あたしの言葉を受け入れるほどの強さをまだ自分は持っていないという方の意味だったんだ。


「うん。俺は美空ちゃんじゃないから本当のところはわからないけど、少なくとも美空ちゃんは、蒼唯のことは友達だって思ってるよ」


そっか……そうだよね。
だって、そんなにも臆病な美空が、あの時あたしを庇ってくれた。


自分を助けてくれた人に、もうひどいことはできない、と。


「ありがとぉ……碧ぃ……」


「まあ、蒼唯の自分のやり方を押し付けるような言い方も勿論良くなかったと思うけどね。気を付けないとダメだよ。みんながみんなが、蒼唯みたいにまっすぐには生きられないんだからね」


「うんっ……」


諭すような碧の言葉に、あたしは素直に頷いた。


それから、碧に胸を押し付けて、疲れるまで目一杯泣いた。


明日学校に行ったら、美空に真っ先に謝ろう。