そんなことを苦笑しながら言うから、なんだかこっちまで切なくなってきた。


「もうー、そんなこと言ってちゃ恋なんてできないぞー」


「それはそうですけど……。伊藤さんにはもっといい人が似合いますよ」


そうかなー。
俺は結構、伊藤ちゃんと藤野ちゃんお似合いだと思うんだけど。


「まあ、もしあれだったら協力するんで、なんかあったら言ってください」


俯く藤野ちゃんに言うと、藤野ちゃんは嬉しそうに「ありがとうございます!」と笑ってくれた。



……よし、ちょっとだけ探りを入れるか。




後日。


藤野ちゃんが休みの時、伊藤ちゃんがバイトだったので、ちょっとばかり質問をさせてもらうことにした。


「伊藤ちゃんさー、今彼女いないのー?」


「あー、いないんですよねー」


バイトが終わってから、お茶という名の“お疲れ”をかけつつ、こんなことを聞いてみた。



「じゃあさー、レジのバイトの子で誰か気になる子とかいないの?」