「藤野ちゃん、もう告れ」
かわいい部下のため、しばらくの期間考えた結果。
もうこれしかないと思った。
「そんなことっ……できるわけないじゃないですか!!」
一気に紅潮した両頬を手で覆い隠しながら、藤野ちゃんは首を横に振る。それも必死に。
「でも、じゃないと鈴木くんも諦めてくれなそうだし、何よりもたもたしてると伊藤ちゃんに彼女ができるのも時間の問題だよ」
「うっ……」と、図星をつかれてうなる藤野ちゃん。
「でも、どうすれば……」
確か、レジのバイトの子たちは自分でバイトを入れる日を決められるはず。
自分の希望シフトを提出して、リーダーがそれをもとにレジ全体のシフトを組むシステムだ。
「鈴木くんが休みの日に、伊藤ちゃんのシフトを入れとく。藤野ちゃんも伊藤ちゃんと同じ日、同じ時間に自分のシフト入れるんだ」
「は、はい……」
「俺はずっと裏にいて邪魔はしないから、閉店後タイミングを見て伊藤ちゃんに告白。オーケー?」
最初は渋っていたものの、決意したのか、藤野ちゃんは力強い目で頷いた。