私はくるっと背を向けて、もときた道を戻り始めた。
雨は相変わらず降り続けているけど、もう傘なんてどうでも良かった。
ずぶ濡れの制服。
スカートは絞れそうだし、白いハイソックスは黒かと見間違うほどに泥ハネで汚れている。
靴の中にも水が入っていて、歩くたびにチャプ…と音を立てて気持ち悪かった。
胸元まで伸びた髪もぺしゃんこで、先からは水滴がぽたぽたと落ちる。
「…ちょ、ちょっと!ユッキー」
「…」
「待ってよ!悪かったって!…おわっ、水溜まり」
足元を水溜まりに取られながらも、必死に後を付いてくる蒼ちゃんに。
私は勢いよく振り返った。
「わっ、びっくりした!」
「帰ったら」
私は腕組みして、このダメ大学生に言いつけた。
「私の泥のついた制服を洗うこと」
「…はっ、はい…」
「あと、お風呂を沸かすこと」
「…はい」