ひたすら考え続けながら走っていたから、あんまり前を見ていなかった。
そのせいで、大通りに続く角を曲がったとき、
ドンッッッ!!!!
…勢いよく何かにぶつかって、激しく転倒した。
水たまりの中に足が入ってしまって、もうどうでもよくなるぐらいに汚れてしまった。
ジーンとした熱い痛みを膝小僧に感じながら、なんとか立ち上がる。
「す、すみません!!大丈夫ですか!!???」
ものすごく慌てた声がして、痛みに顔をしかめながらも視線を上げる。
…と。
「蒼ちゃん」「ユッキー」
声が重なった。
向こうもびしょ濡れだったから、わからなかった。
髪はぺしゃんこだし、服も色が変わってしまって見える。
頼りない小さなハンカチを頭に当てていたけれど、まったく効果なし。
そういう私も、傘をさしていたとは思えないくらいに濡れているし。
「なんで、ユッキーがここに…」