否定できないところを突かれて、とっさに「そうかもしれないです…」と返してしまった。

言われてみれば、あれこれと気を揉むことが多い。

他人がどう思ってるか。
私が邪魔になってないか。
特に、美奈子たちの間では。

結局私が気を揉んだところでなんの足しにもならないし、向こうもまったく気に留めていないことはわかっているんだけれど。


「もっと、肩の力抜いていいんじゃない」



先輩はそう笑って、私のぶんまで会計を支払ってくれた。
いくら「払います」と言っても、そこはがんとして譲らなかった。














――マンションの前に着いたとき、もう空はすっかりと黒くなっていた。
時間は18時前。

夏の空なのに真っ黒。
今にも雨が降り出しそうな勢いだ。


携帯にはマリナさんからの連絡は入っていないし、きっと今夜も帰ってこないんだろうな、と思った。
蒼ちゃんもバイトだから、もう少しかかるだろうし。
今夜は適当にチャーハンでも作るかな。

そんなことを考えながら、ロビーのロックを解除して中に入り、エレベーターを待つ。

到着のチン、という音とともに、


「あ!ユッキーじゃん!」



…元気な声がして、目を見開いた。