だって、マリナさんは、私がいなくたって良かった。
私がいなければ別の人生を歩んでたかもしれない。


美奈子だって、有紗がいればいい。
有紗だって、美奈子がいればいい。



合コンの場も、人数あわせで呼ばれるだけで、本気で求められているわけじゃない。

声をかけてくれる男の子はいるけれど、本当に本当に私がいいのかといったら別にそうじゃない、ということだけは分かる。



アユミちゃんは優しくて大好きだけど、所詮はマリナさんの親友だ。



――蒼ちゃんだってそう。



結局、みんなが必要とするのはマリナさんなのだ。





私じゃない。


だから、満たされない。いつまでも。

だから私はどこか、冷めている。






「…」


先輩はかける言葉を考えているようだった。

あ、困らせてしまった。
そう心配になって、「すみません」と謝ろうと顔を上げたとき。

先輩が言葉を選ぶように、一瞬ためらったあと、そっと口を開いた。



「俺ね」