自然と笑顔になる。
そんな私を見て、先輩も嬉しそうだった。


「うん、おいしい。さすが、噂になるだけのことはあるな」

「ケーキもおいしいです!」


チーズケーキも絶品で、私は珍しくはしゃいでしまった。
先輩もそんな私を見てくすくす笑っている。




――考えてみれば、美奈子たちとこんな風にしたことがなかった。

学校帰りにおいしいものを食べたりとか、面白いものを共有したりとか、遊んだりとか。

クラスメートと友達の線引き、あるいは恋人の線引きはこれなんだろうか。
…幸せとか不幸せを、共有すること。


だとすれば、私は本当に友達がいなかったのかもしれない。
やっぱり、美奈子たちは私の友達じゃなかったのかもしれない。




そんなことを考えると、ふいにフォークを持つ手が止まってしまった。

「ユッキー?」

急に静かになった私に、先輩が首を傾げた。


「どうかした?」