しきりにその俳優を思い出そうとする先輩を横目に、私はもう一度店内に蒼ちゃんの姿を探した。

結構混み合ってきていて、座席はほとんど埋まっている。
基本的に接客は女の子が多いように見えるけれど、人が多いときには蒼ちゃんも出てくるのかもしれない。

…あ、ほら、また出てきた。


「お待たせいたしました」


私たちの前方の席に、アイスティーを二つ運んでいた。
柔らかな茶色の制服姿は、今朝の雰囲気とはまったく違う。少し大人びて見える。
蒼ちゃんの人懐っこそうな顔によく似合っていた。


いつのまにか、先輩をほったらかしのまま、私は蒼ちゃんの観察に走ってしまっていた。


「ユッキー?」

と呼ばれて、そこではっと我に返る。



「どした?」

「あっ、いえ、誰に似てたかなって」

「俺思い出したんだけどね、ジャニーズの白川君じゃない?」


…誰それ。

内心ではそうツッコミながらも、面倒くさいから知ってるふりをした。

「そうですね」




どっちかというと、人間よりは犬を連想してしまう。
人懐っこい、コーギーとかポメラニアンとか。