おいしそうなデザート、コーヒーなどの写真が並ぶ。
メニューを見るべきなのに、どうしてもちらちらと先輩の顔に目がいく。

目が合うたびに向けられる笑顔に、なんだか嬉しくなるから。


「何にする?コーヒーは頼むにして…何かデザートでも」

「あ、そうですね。えっと…」


慌てて、真剣にメニューを眺めた。
そこで、大好物を発見して思わず「あ!」と声を漏らす。


こんがりとした焼き目のついた、ベイクドチーズケーキ。


私はりんごジュースとベイクドチーズケーキがあれば生きていける気がするっていうぐらい、大好きなのだ。


先輩がくすくすと笑った。

「いいよ、頼みなよ」

「はい。先輩は…?」

「シフォンケーキにする。 あ、すいませーん」


チーズケーキが食べられると思うと、自然と頬が緩んだ。
先輩が長い手を上げて店員さんを呼ぶ。



――私はすっかり、肩の力を抜いていた。


「お伺いいたします」



という、声が聞こえるまでは。