見上げると目が合って。
微笑まれると、どきん!という鼓動が胸の中で確かに聞こえた。

…落ち着け、私。


ぎゅっと右手の拳を握ると、手汗を感じた。
自分がここまで動揺するなんて。


――よく考えたら、私、男の人と二人で遊んだこと一度もないよ。
勢いで来ちゃったけど。


今更ながらそんなことに気づいて、一気に心に余裕がなくなった。
外見だけでも余裕に見えるように頑張ってみてるけど、実際にどう見えてるかはわからない。


…なんか、喋って!

先輩の顔を見れないまま、そう念じた時だった。





「緊張してる?」