パコンと携帯を閉じて、ぽいっと鞄に放り込む。
半分やけくそな気分だった。




私は、結局のところ、誰の一番でもないんだ。

そんな思いが胸の中をぐるぐると渦巻いて、もうどうしようもなくイライラする。

やっぱり、私とマリナさんは違うのね。



…そう考えるだけで、一気に、何もかもが簡単にどうでもよく思えてしまうのだ。














――わざわざ裏門を指定したのは、先輩なりの気遣いだったみたいで。


「まさかOKされるなんて思ってなかったよ」


さすがに正門とは違って、まばらにしか人がいない。
私の姿を見つけると、先輩は笑顔で長い手を振ってきた。

細くてスタイルがいい人だな、と見るたびに思う。

蒼ちゃんとはまた違う。
これも何故か、見るたびに比較してしまう。

私はなんとなく、蒼ちゃんのほうが好みだ。
細いけど健康そうで、いろいろとバランスがいい。

先輩はとにかく細い。



「お待たせしました」

「いやいや、今来たとこだし。じゃお茶のみに行こっか」


先輩の横に並ぶと、少し緊張した。

私も背が低いほうではないけれど、先輩はやっぱり高い。
頭のすぐ横に、先輩の肩の気配を感じる。

少し香水のような、いい匂いがした。