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件名:中川です
こんにちは。今日の放課後は暇?
良かったらお茶でもどう?
授業後に裏門で待っときます。
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「うー……」
思わず唸り声を上げてしまったせいで、前の席の男子がびくっとしたようにこっちを一瞬振り向いた。
幸い、美奈子は有紗のところに行ったから、私の様子などそれ以上気に留めていない。
そっちの様子に目をやると、相変わらず二人は楽しそうに、尽きることなく話をしていて、なんかもうすべてが嫌になってしまう。
――なんでこんなにもやもやした気持ちになるのか、わからない。
美奈子たちのことになると、いつも。
他人の家に勝手に出入りしているダメ大学生よりも、ずっとずっともやもやする。
…もう、いっか。
私は机に肘をついたまま、短い返事を返した。
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件名:Re 中川です
行きます。
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