今こう考えてるときでさえ、マリナさんのことが頭から離れない。

マリナさんの顔が見たい。
何をしているのか、誰と会っているのか知りたい。
重症だ。すごく、重症だ。


「低血圧?」


ユッキーに顔を覗き込まれて、心臓が宇宙の彼方まで跳ね上がった。


澄んだ白と、茶色の対比が美しい瞳。
ピンク色の唇。
少しだけ高飛車な声。

違うけど、でも似てる、その姿に見つめられると不覚にもどきっとする。
…最低だ、俺。



「違うけど!なんで?」

「いつまでもぼんやりしてるから」

「…あ」


頭ぼさぼさのまま食卓に着いた俺の前に、美味しそうな焦げ目のついたトーストが差し出された。
横にポンとバターの箱が置かれる。



ユッキーは、口調こそ素っ気ないけど、すごく面倒見がいい。



ありがたくトーストをいただいて、急いで支度をして、大学に行くことにした。