ぽわっと音を立てて、再び三木蒼太の顔が浮かんできた。
――あ。
あれだって、そうか。
誠実そうな、真面目そうな見た目だけど、何を考えているのかわからない。
私は中川先輩が屋上から去っていったあと、教室に戻った。
ちょうど次の授業が体育だから、誰もいない。
鞄だけを持ってそのまま帰ることにした。
「ただいま」
小さく呟きながら、マンションのドアを開ける。
ドキドキしたけれど、返事は返ってこなかった。
――なんだ、いないのか。
ほっと肩の力を抜いて、部屋の電気を点けようとした。
その前に、暗がりの部屋の中でソファーに的を定めて鞄を投げる。
すると、
「…ったっ!」