私は中川先輩を見上げた。
初めて、ちゃんと目が合ったような気がする。
細くて色気のある目だった。
「…不良かもしれないです」
「そうなんだ。いいね、仲間だ」
「あの」
私は立ち上がって、先輩の横に立った。
先輩が私を見る。
昼下がりの陽射しが少し眩しくて、先輩の白いシャツがきらきらしていた。
「先輩、私に電話しましたか?」
「あ、そうだ。電話したよ。いきなりごめんね」
先輩はクールな表情から一転、申し訳なさそうな表情になった。
意外と優しい顔なんだな、と思う。
合コンではまともに会話してなかった。
先輩は美奈子の隣だったし。
「美奈子ちゃんから連絡先を聞いたんだよ。あのときはあまり話せなかったけど、もっと話したいなと思って」