友達の情報をさらりと流しておきながら、ためらった様子も申し訳なさそうな様子もまったくない。
それどころか、携帯から顔さえ上げない。



「…そうなんだ」

「ユッキー、気をつけなよ。あの先輩、女たらしかもよ。有紗のぶんまで聞いてきたし、落とせるなら誰でもいいのかも」

「女たらし?」


美奈子はそこでようやく携帯から顔を上げた。
何故か、得意そうな顔だった。

「なんかねー、巨乳好きらしい。前の彼女は超モデル体型で巨乳だったらしいから」


ほんの少し前まで「いい」と言っていた人を、「女たらし」に変えてしまう。
前の彼女がモデル体型で巨乳だったらしいからって、巨乳好きのレッテルを貼ってしまう。

背筋が少しぞくっとした。

初めて美奈子がわからなくなった。



…いや、初めて?
本当はそんなことないのかもしれない。




「やっぱり付き合うならー…」


美奈子の声があまり耳に入らない。
頭の奥の、一番不快な部分で鳴り響いてるような気がする。


私はたまりかねて、席を立った。


「あ、ちょっと、ユッキー?!」