「……わっ!!!!」
いの一番に驚いたのは私より相手のほうで、後ろに尻餅をつくんじゃないかというぐらいに反り返って驚いていた。
まぁ、そりゃそうかも。
私はずっと彼の動向を追っていたけど、彼はこの部屋が無人だと思い込んでいたんだから。
その人間味あるリアクションに少しだけ、気持ちが落ち着いた。
でもまだ口を開くことができない。
――なんで、ここに。
――あなたは、誰?
―――なんで、マリナさんの鍵を。
警戒心は解けない。
私ははっと我に反って、相手が驚いてる間に素早くソファーに携帯電話を取りに戻った。
そして、まだ玄関に立ち尽くしている彼に向かって、震える声で口を開く。
「な、なんの用!マリナさんに何をして、私に何をしにきたの!警察呼びますよ!」