こんなに繊細でいとおしい生き物を生み出す不思議な力は、
男には到底備わっていないように思います。




マリナさんとは、あまりにあっけなく、あっさり終わってしまいました。

彼女と恋愛していたあの頃、
そしてすべてが終わってしまったあとも、
一度も彼女に対して悪い感情を抱かなかった。
といえば嘘になります。




…けれど、やっぱり、
悪い感情はほとんどないのです。
ゼロに限りなく近いです。

あの五日間を思い出せば、
そんな気持ちはとても抱けそうにありません。



後にも先にも、あんなに、満たされた気持ちになったことはありませんから。




――幸せとは、あの場所に封じ込められている気がします。