彼女ほど俺を惑わせて、困らせて、傷つけてくれるような女性はもうこの世にはいないんじゃないかと思います。
だけどあの五日間で、彼女が俺にくれたものは、それらすべてを足してもお釣りが来るぐらいに、素敵なものでした。
姫。
本当に姫のように、優しくて繊細で、強さと脆さを併せ持った美しい存在。
彼女は俺に、その子と過ごす時間を与えてくれました。
たしなめられたり、大事にされたり。
その子はたった数日なのに、消えない温かさを胸に残してくれました。
言葉がなくても、必要とされてる。
愛されてる。
そう心から感じることができたのは、初めてでした。
――そしてそう感じたとき、この世界中のすべての幸せをかき集めたかのような、
幸福感に包まれて。