再び携帯電話をバッグに放り込んで、私は帰り道を早足で歩いた。

――なんだか今日の帰り道は、いつもと違う気がした。




「ただいまー 」


「メゾンポワール」406号室。
新築ではないけどそこそこのマンションの一室。
マリナさんがまだ帰宅していないことはわかっているけど、鍵を開けながら一応声を上げる。


薄暗い部屋の電気を付けてバッグを置いた瞬間が、一番ほっとする。



「あー……」

呻き声を上げながらソファーに寝転んで、もう一回携帯電話を開いた。
制服も着替えてないまま。
マリナさんがいたら、「女の子がだらしない!」「スカートに皺が寄っちゃうでしょ」って言われるだろう。


…そう。
私だって、こんなもんだ。
全然クールじゃないしきっちりしてるわけでもない。