――就職先の研修が忙しいみたいで。
ということは、彼はきっと、真面目な大学生に戻ったのだろう。
マリナさんの鍵は返された。
彼は家に戻って、勉強して、研修して、親孝行を始めていると信じたい。
それで立派な職場で、立派な人たちに出会って。
きっと悔しいぐらいに、もっと私好みの人になっていくに違いない。
また恋愛をして。
うまくいったり、うまくいかなかったり。
きっとそんな日々を繰り返す。
…私も。
おかげで、少しずつ、前に踏み出せているよ。
友達とこうしてお茶できるようになった。
出来れば蒼ちゃんのコーヒーが飲みたかったけれど。