――あれから、美奈子や有紗とは一応仲直りした。
中川先輩は学校内でたまに見かけるけど、お互い目を合わさないしもちろん一言も交わさない。
だけど意外とあっさりしたもので、私は上手に先輩を忘れていった。
…もちろん、痛みはある。
ただそれは私の不注意さのせいでもあるから。
秋からは三年生は受験だし、来年になれば学校から出ていく。
もう会うことはなくなる。
そう思えば、乗り越えられる気がした。
有紗は結局、先輩に「告げ口」はしなかったようで。
別に今更先輩に何を思われてもどうでもいいけれど、
言わないでいてくれたという事実が、私の気持ちを少しだけ軽くした。
でも仲直りしたところで、私たちが一緒にいる理由は特になかった。
何にとらわれていたんだろう、と苦笑してしまうぐらいに。
共通の話題もないし、趣味もないし、特に気が合うわけでもない。
美奈子と有紗は合うんだから、一緒にいたらいい。
最初から私は、はまるべき場所を間違えたパズルのようなものだった。
…無理しなくていいんだ。
気づいたら、こんなにも楽になるのに。
そう思うと、先輩との会話を思い出して少し胸が痛くなった。