「マリナさん」
「…ん?」
「ユッキーは、本当にいい子ですよね」
「うん。ダメなとこだらけの私が自慢できることといえば、ユッキーぐらいだもの」
心からの想いだった。
一緒に笑って、一緒に泣く、愛しい存在。
だからユッキーがさっき泣いたことは、私がしっかりと蹴りをつけるべきことだった。
「…蒼ちゃん」
「…はい」
「蒼ちゃんに出会えたのは本当に嬉しかったし、あそこのコーヒーは本当に美味しかった。
でも…私と蒼ちゃんは、一緒に人生を歩んでいくには、まだ遠いよね」
少し間があいてから。
「…そうですね」という声がした。
はっきりとした、迷いのない声だった。