訳もわからないまま、叫ぶように言い続けて、私はマリナさんの肩や腕を打ち続けた。

マリナさんは叩かれるままになっていて、何も言い返さなかった。



こんなに泣いて、叫んだのは初めてで。
そこで初めて私は自分の心の声に気付いた。





…そうか。

私は、羨ましかったんだ。
皆に愛されるマリナさんが、じゃなくて、蒼ちゃんに愛されるマリナさんが。


あんなに優しくてまっすぐで、
あんなにダメダメな人。



だけど、

――彼はもう二度と私の前には現れないんじゃないかと思うぐらいに、私の好みの男の人だったから。