「なんかね、私、この二日ほどで随分変わってしまったように思うの。
たった一瞬なのに、なんか今までの私とは全然違う。考え方も感じ方も、価値観全部が変わってしまった気がする」
私はぎゅっと膝を抱えて、心の中の思いを吐露した。
蒼ちゃんにはもう何でも言えてしまう。
出会ったときは、自分に一番遠い存在だと思ってた。
バカみたいに純粋で。
…それなのに、今はこんなにも近い。
私がすっかり変わってしまったんだ。
「…多かれ少なかれ、皆そういうことを経験するんだよ」
蒼ちゃんはぽつりとそう言ってから、私の髪に再び触れた。
だけど今度は頭じゃなくて、髪を結んでいるシュシュだった。
「あ、取れちゃった」
「…ちょっと」
蒼ちゃんが無邪気に笑って「ごめんね」と言いながら、白く光るパールを指でつまんでみせた。
ずいぶんと取れやすいみたいだ。
あんまり取れちゃったら、可愛さが半減する。
…第一、マリナさんのだし。
「ボンドでくっつけりゃいいよ」
なんて適当言う蒼ちゃんの肩をぱしっと叩いた。
――相変わらず、私の好みの体つき。声。顔。
仕草何もかもが。
憎らしいぐらいに。
蒼ちゃんは小さなパールをそっと太陽にかざすようにして、眺める。
ガラス玉のような、きらきらとした綺麗な瞳で。
「…たまゆらの」