一瞬で始まって、一瞬で終わった恋。


悲しいのは一瞬で終わったことじゃない。


――相手にとっては、何も始まってなかった。だから何も終わってない。
それが一番切なくて苦しいこと。



私が抱えているこの胸の痛みなんて相手には関係ない。

ただちょっと、まずいことをしたな。と思うぐらいだ。



二人で泣いて終わるならいい。

泣くのは私だけだ。



…あのとき確かに、同じ時間を共有してたのに。






蒼ちゃんの手が、私の頭に置かれた。
テレパシーの伝わる手。

なんだか今、蒼ちゃんの気持ちが痛いほどにわかった。


「こういう恋は大概、皆に話すと怒られるんだ。バカなことしたなって。
特に女の子はね、傷つくことも多いから」