15分ほど走って、バイクが止まった。
目の前に開ける河原。
緑の草原に、キラキラと涼しげに横を通っていく青。
平日だしまだ夏休みも始まっていないからか、人は全然いない。
「わぁ、何年ぶりだろ」
思わずはしゃぎ声を上げる私の後ろで、バイクを停めた蒼ちゃんが笑った。
「よく来ないの?」
「来ないよ!一緒に来る相手もいなかったし」
「落ち込んだときに1人で来たりしてたのかと思った」
そんな、ありきたりなドラマみたいなことしません。
そう口を尖らせると、蒼ちゃんは可笑しそうに笑った。
…明け方に雨で濡れたせいか。
草の先には雫が光っている。