…美奈子たちとも、こんなふうに。
もっと自然体で仲良くなれたらよかったな。

そんなことをふと思った。





――昼休み。
私は鞄に荷物を全部詰めて、はしゃぎ声で賑やかな教室をそっと出ていった。


目指したのは、裏門だった。



昼休みだから誰もいない。
前は先輩が待っていた位置で、今度は私が待つ番だった。

グラウンドのほうからかすかに、サッカー部の掛け声が聞こえてくる。

携帯をぎゅっと握りしめたまま私はただじっとして、待っていた。




いい風が吹いている。
明け方少し雨が降ったらしい。

相変わらず日差しにはうんざりだけど、爽やかな風だった。




…ほどなくして、先輩の姿が見えた。

昨日までなら長い手を振って、笑顔を見せてくれたのに。