先輩からは、なんのメールも電話もなかった。
昨夜別れたあとから寝るまでの間も、そして今朝も。
それだけでもう、なんだかわかってはいた。
――…ただ、往生際の悪い私は、
自分がバカだという真実を、認めたくなかったんだと思う。
「…あ」
朝、教室に入ると。
ちょうど教室を出ていくところだったらしい、美奈子とぶつかりそうになった。
…近距離で、ばっちりと目が合う。
「…っ」
美奈子は気まずそうに、目を逸らして、私の横をすり抜けて出ていった。
「美奈子、ちょっ…」
ちょっと待って。
そう呼び止めようとしたけれど、美奈子はもう走っていってしまった。
仕方なく教室に入る。
相変わらず、有紗とは目すら合わない。
1人、席について、携帯を取り出した。