ドライヤーの音が、私の微かな嗚咽を消してくれる。 心が、きれいな水で、満たされていくような気持ちだった。 ――私は、わかってもらえている。 きっと私の今の気持ちは、かつての蒼ちゃんと同じ気持ちだったんだろう。 痛いほどにそれが伝わってきた。 「明日、午後から授業さぼらない?」 ドライヤーのスイッチを切って。 だいぶ乾いた髪を撫でながら、蒼ちゃんが、そんなことを言った。