それ以上は何も聞かなかった。 なにがあったの、とか。 結局はどうして遅かったの、とか。 何も聞かなかった。 ――ただ、「わかってるよ」と。 気持ちはわかってるよ。と。 たったそれだけが伝わってきて。 「…っ…く…」 お風呂では、たった一滴しか流れなかったのに。 熱いものが目からポロポロと零れて、私は顔を三角座りした膝に埋めた。