22時ごろ、アユミちゃんは帰っていった。
今日は旦那さんが家にいて、奈々ちゃんを見てくれているらしい。
華奢な体が軽い足取りで去っていくのを見届けて、ドアを閉める。
ふう。
と、肩の力を抜いた。
食卓に戻ると、蒼ちゃんが残ったカルボナーラを食べて片してくれていた。
キッチンに充満する、クリーミーな匂いにお腹も満たされる。
「美味しいな、これ。それにパワフルな人だね、アユミさん」
「…うん」
私は、なんとなく疲れてしまって。
ソファーにそっと腰を沈めた。
なんだか、誰にも会いたくない、気分だった。
嘘を喋り疲れたせいなのかもしれない。
蒼ちゃんはお皿を洗いながら、「お風呂わいてるよ」と私に言った。
…なんか、お父さんがいたらこんな感じなのかな。と思うような、穏やかな雰囲気だった。
さっきまでお互いによく喋って、盛り上がってたのに。
アユミちゃんが帰った瞬間、急に静かになった。