鞄をソファーにぽいと投げて、制服のまま食卓に着く。

「またそんなことして。マリナにそっくりなんだから」なんて言いながら、アユミちゃんはまだ温かいカルボナーラを私の前に置いて、お茶を出してくれた。


「はい」

「ありがとう、いっただきまーす!」

「で」


手を合わせて、カルボナーラに食らいつく私を横に、アユミちゃんは楽しそうに蒼ちゃんに話しかけた。


「戻ることにしたの?」

「はい。明日には家に帰ります。お騒がせしました」

「本当よまったく。ユッキーがいい迷惑よね。あの子はともかく」


ねぇユッキー、とアユミちゃんが私に話を振る。
私はちらりと蒼ちゃんを睨んだ。





――どうやら彼は、一部始終をアユミちゃんに話したみたいだった。
それも、まるで笑い話みたいに。



実際、蒼ちゃんもアユミちゃんも笑っていた。



「ホントです。ユッキーには迷惑かけちゃいました。こんな奴と数日とはいえ同居なんて」

「私だってびっくりしたわよ。インターホン押したら出てくるのが若い男なんだもん。さすがに何事かと思った」



アユミちゃんは髪を耳にかけながら、愉快そうに笑った。

「マリナを好きになっちゃうなんて、ついてなかったわね」