ぽんと肩を叩かれて、自然と笑みがこぼれた。

笑顔になった私を見て、先輩も笑う。


「そうそう。笑ってたほうがいいよ」

「…はい」

「自分のやりたいようにしたらいいと思うよ俺は。そりゃ、ユッキーをいいと思う人もいれば悪いと思う人もいるし、みんながみんなに好かれるわけじゃないんだからさ。
美奈子ちゃんたちとは少し気が合わなかっただけ。いつか、分かり合えるときが来るのかもしんないし」


先輩の考え方や言葉は、いつも私を楽にしてくれる。
心を軽くしてくれる。


…いいなあ。
素直に、そう思った。




「でもユッキーが美奈子ちゃんたちとうまくやりたくて、俺が邪魔なんだったら、俺はもう誘わないよ」

「え…」

「なんか、申し訳ないし」


私は思わずちゃぶ台に手をついて、身を乗り出していた。


「そんなこと…ないですっ!」




いつになく声を大きくした私に、先輩は驚いたようで、細い目を丸くした。

私ははっと冷静になって座り直すと、もう一度「そんなことないです」と言った。



「邪魔なんかじゃないです。…私が、先輩と話したかっただけで、私が先輩と一緒にいたいだけなんです」




自分の口からこんな言葉が出てくるなんて、思いもしなかった。

なんだか頬が熱くなる。
胸が、どくんどくん…と震える。


こんな感情は初めてだった。


「…ユッキー」