すべて納得がいったけれど。

それでも、無視されるのは納得がいかなかった。




でも。


「…ユッキー、三木さんと付き合ってるでしょ」

「え…?」


畳みかけるように放たれた有紗の言葉に、瞬きが出来なくなった。

「わたし、見ちゃったんだよね。先輩が席を外してる間に、三木さんと親しげに話してるの。
それから…


…雨の中、同じマンションに帰っていくのもね」



それは。

思わず反論しかけたけど、必死に自分を抑えた。
事情がややこしいし、本当のことを話したとしても、
蒼ちゃんに傷がつく可能性が高い。

…蒼ちゃんを傷つけるようなことだけは、できなかった。


黙り込む私に、有紗は今までにないくらい流暢に話を続けた。



「三木さん、いいよね。モテるよ。…わたしも前気になってたけど、今働いてる女の子の中でも、好きだっていう子いるし」

ふう、と息を吐いて、有紗は空を仰いだ。




「ユッキーはいいね。きれいだから、みんながユッキーを好きになる。…遊びに誘われるし、番号は聞かれるし。

わたしなんかね、番号聞かれてドキドキして一日中握りしめていても、結局かかってこないんだもの」