石鹸だかシャンプーだか、とにかくいい匂いがする。
「いただきまーす」
「…あっ、いただきます」
ユッキーは、マリナさんお手製のカレー。
俺は、ユッキーお手製のチャーハン。
これを二人で食べるというなんとも奇妙な食卓光景。
なんか不思議な感じだよね、なんて俺が言うのはおかしいなと思ってやめた。
そしたら、ユッキーが口を開いた。
「よかったの?マリナさんのカレーじゃなくて」
「んえ?…な、何を急に」
「いや、だって、"恋人"の手料理でしょ」
ユッキーは少しいたずらっぽい目をした。
そういう顔をすると、やっぱり、マリナさんに似ている。
5つ年下の子にすべてを見透かされて一枚上手をいかれていると思うと、かなり自分が情けなくなった。
「俺は、ユッキーの料理が食べられるなんて世界一の幸せ者だよ」
「…なにそれ、気持ち悪い」
がーん。
そう頬を押さえると、ユッキーがくすっと笑った。
なんだか今日のユッキーは、昨日よりもおとといよりも、機嫌がよさそうだ。
…あ、そうか。
「デート楽しかった?」