カバンの中から薬のポーチを急いで出す。
「最悪・・・。カロリーの薬忘れてるし・・・。とりあえず利尿剤で誤摩化すか」
錠剤を手に置いて、口に入れようとして気が付く。
(飲み物・・・ない)
あるのは目の前の蛇口。
「これで飲めって事?それしかないよね?トイレの水って飲めるのか?」
あんまり長くトイレにいてもおかしい。
(あー!!最悪!!)
目をつぶって「水道水!!」と言い聞かせて手で口に運んだ。
トイレから出る時、(今度から水と薬は絶対常備しなきゃ!)と誓った。
窓側の席でソウちゃんが飲み物を飲んでいる。
可愛いなぁー・・・、なんて見とれたりしちゃう。
放課後のソウちゃんなんて初めてだ。
(よーし!絶対に「付き合って」って言うぞ!!)
トイレの水を飲む根性があるからあたしは大丈夫!!
「ごめんね?お待たせ」
何事もなかったかのように笑顔で座るとソウちゃんもニッコリ笑った。
何だかいっぱい注文してるみたいでトレーが山になっている。
トイレの水をどうにかしたくてウーロン茶をガブ飲みした。
「ルウコってそんな細いのにダイエット中?カロリー気にするんだ」
あたしの動きがピタリと止まる。
(しまった!聞かれてたー!!!)