その日の帰り、約束通りに一緒に帰ってくれた。


部活を休ませちゃったけど。


ソウちゃんはいつもは飄々としてるのに、この日は何だか妙にギクシャクしていた。


迎えに来てくれた図書室を出た時、何だか素っ気ない感じがしてそれが寂しかったからあたしが積極的になろうと思った。


『付き合って下さい』って後でちゃんと言ってみよう。そう決めた。


図書室を出て「ソウちゃん、忘れてない?」と言って手を出すとギョっとした顔をした。


「ここから手を繋ぐのか?」


「うん。だってあたしジェラード、当てたでしょ?約束だもん」


キョロキョロ周りを見て「参ったな・・・」と呟いている。


「あたしは噂になってもいいんだけど、ソウちゃん迷惑?」


不安な気持ちが自分を不思議と強気にさせる。

あたしの気持ちをわかって理解してほしいから不安だから強がってしまう。



ソウちゃんはあたしの手をジーっと見ながら考えていたみたいだけど、


「ま、いいや。噂上等!明日みんなにボコられんも上等だ!」


と意味不明は事を言ってあたしの手をしっかり握った。


「何でボコられるの?」


あたしが聞くと、呆れた顔。


「あのね、キミは『みんなの柏木さん』なワケ。自覚ある?」


「・・・ない。あたしはソウちゃんがいればいいし」


と言うとまた赤くなってビックリした顔。


「あっそ。とにかく、その「柏木さん」を独占すると酷い目に遭うんです、ボク」