「ん?」
彼はあたしが投げた紙切れを開いて見ている。
「高柳!!」
先生の言葉に「あー・・・、えーと・・・」と言いながらあたしが書いたメモを読み始めた。棒読みだけど。
「ふん。合ってるから課題はないがたまには起きとれ!アホ!それから、柏木!」
まさかあたしが呼ばれると思ってなくて「え?」とビックリしてしまう。
「前のアホを庇う必要なし!今度庇ったらお前も課題出すぞ」
「いや、あたしは別に・・・」
「まぁいい」
そう言ってまた授業を再開した。
またみんなにジローって見られるのかと思って周りを見たけど、1時間目の授業なんて部活組が多いこのクラスで起きてる方が少ない。
だから誰も気にも止めてないみたいだ。
でも、明日香だけが後ろを振り返ってニヤーっと笑ってる。
(もう!明日香のバカ!!)
あたしはしかめっ面を明日香に返した。
視線を前に戻すとあたしのメモを手にしたままズルズルと机に突っ伏してまたお休みモードに入っている。
しっかり左手にメモを持って寝ている姿が何だか可愛くて、あたしはクスって笑ってしまった。