次の日、相変わらずあたしは彼の広い背中を眺めている。


もう夏服だからみんなベストにシャツって感じ。

マジメちゃんじゃない限り、学校指定のダサいベストを着てる子なんていない。


(今年はベージュなんだ。去年は紺だったよね?)


なんて思いながら背中を見ていると、段々低くなって突っ伏した。

どうやらお休みタイムらしい。


同じクラスになってからわかった事。

ほとんどの授業寝てばっかりだけど、特に古文と数学が嫌いらしくて、その授業は100%寝てる。

追試とかなってるし・・・。


そして今は古文の時間。だから早々と爆睡モードに入ってしまう。



「コラ!高柳!起きろ!」


珍しく先生に名指しされている。

それでも規則的に動く背中は完全に爆睡中。


イラっとした先生が「高柳!!」と思い切り怒鳴った。


「は?」


寝ぼけながらムクっと起き上がってやる気のない返事をしている。


「お前はいつもいつも寝てばっかりだな。お前にだけ課題出すぞ!」


「うっせーな。聞いてるってば」


反抗的ではないけど欠伸をしながら答えている。


「じゃあ、私が今何を言ってたか答えてもらおうか。答えれなかったら課題!」


(ヤバイ!!)


なぜかあたしが焦ってノートの隅に急いでさっきの内容を書き込んだ。


そしてビリっとノートを破いてポイっと前に投げた。