帝王切開で生まれた我が子を抱けたのは出産して2日後だった。

手術で見事に発作を起こしてしばらくは面会謝絶状態だったから。

笹井先生が言うには「ちょっと危なかった」らしい。


婦人科ではなく循環器科にそのまま入院したあたしにツナミを連れて来てきれたのはソウちゃんと看護士の藤田さんだった。


まだ生まれて間もない我が子をそっと抱いた時、すごく不思議な気がした。


「可愛い!!どうしよう!すんごい可愛いだけど!」


興奮して言うあたしにソウちゃんは「わかってるよ」と苦笑いした。


「旦那さんは生まれてすぐ抱っこしたのよね?」


藤田さんが言ったのを聞いて「ズルい!」と文句を言った。


「いやいや、ズルいじゃないじゃん。生まれて感動する間もなくルウコが危ない言われてオレ結構大変だったんだけど」


「あー・・・、それは申し訳ない。でも無事生還したんだから大丈夫よ!」


あたしの病気の薬が影響するかもしれないから母乳でも育てられない。

何だか生まれた時から母親らしい事が出来てない気がした。


「それはしょうがないじゃん。わかってて生んだんだし、大丈夫だよ。ちゃんと育つから」


ソウちゃんが明るく言ってくれたから悲観的にならなくて済んだけど、あたしには大きな気がかりがある。


『あたしの病気が遺伝しているか』。


あたしは先天性ではないけど、この子は先天性になる可能性がある。

笹井先生に説明をされた時はクラクラしてぶっ倒れそうになった。


可能性としては母親であるあたしが「後天性」だから3割くらいらしいけど。

検査を出来るのも2歳くらいかららしい。


「2歳までの間に発作とか起こしたらどうしよう・・・、それに同じ病気だったら・・・」


「そんな事言ってたらキリないじゃん。大丈夫だって、オレの血が強いかもしれないから」


2歳の誕生日にはまず検査しなきゃと思った。