「行くの中止」


そう言って、車を渋滞から抜けるように裏道へ走らせた。


「どっかでお茶でも飲む?」


あたしが聞いても、ハザードを点けてとりあえず車を停車させた。


エコー写真を色んな角度に動かして一緒に首まで傾いている。

その姿にあたしが笑うと、エコーを見せながら「どこにいるの?」と聞いた。


「ここ」あたしが指差すとまた真剣にマジマジと見て、タバコに火を点けた。


「あ!」タバコを見て、慌てて外に出て車に寄りかかりながら写真を見直している。


(一応、タバコとかに気をつける冷静さはあるんだ・・・)


なんて思いながら、あたしはソウちゃんの「意志」を聞くまで黙ってペットのお茶を飲んで待っていた。


しばらくして車に戻ってくると、ハンドルに顎を乗せて何かを考えている。


「どうしたの?」


「給料の事考えてるの。・・・しかし安いよな・・・」


何かブツブツ言いながら指を折って計算している。


しばらくあたしは様子を見てたけど、あたしが聞きたいのはソウちゃんの給料じゃなくて、「意志」だ。

どう思ったのか、嬉しいのか困っているのか、嬉しいと言ってほしいけどそれはソウちゃんの人生にも関わる事だから、あたしがどうしたいのか、そういう話をしたいのに、いつまでも何だか意味不明な計算を続けている。


「ソウちゃん!!」


我慢の限界がきて大声で呼ぶとギョっとした顔で振り返った。