結果を教えてくれたのは婦人科の先生ではなく笹井先生だった。
「体温36.7。眠かったり身体がダルかったりしなかった?」
「別に・・・、そういえば最近よく眠れるかもしれない」
「で、今7周目。つまりは妊娠2ヶ月だね」
相変わらずあっさり言う言葉に頭がついていかなかった。
「え?何だって?」
「だから、ルウコちゃん妊娠してるんだよ。2ヶ月目だね。つわりとかはこれから来るけど・・・薬の調節必要だね」
「それって赤ちゃんがいるの?あたしに?」
まだぺったんこなお腹に手を当てた。
「そういう事。高柳くんには『生理が来ない』とか言った事ないの?」
「ないかな?ソウちゃん忙しいし、あたしも気にしてなかったから・・・」
先生はおでこにペンを当てて考えていた。
「堕胎するにしても、出産するにしてもルウコちゃんの場合は出産は帝王切開だからどっちも『手術』が必要だね。身体にかかる負担はどっちも同じ。いや、出産までに発作を起こさないかが不安だけど。どうする?」
どうするって・・・、
急にそんな事、「赤ちゃんがいる」って言われても・・・、
でも「堕胎」はしたくない・・・、
「高柳くんとご両親とよく相談する事だね。とりあえず安静に」
「あ!あたし今日友達とご飯食べに行くんだけど、大丈夫?」
あたしの間抜けな言葉に先生は少し笑った。
「大丈夫だよ。でも、カロリーの薬を弱いのに変えて、利尿剤は漢方に変えるから忘れないで飲んでね」
病院を後にしながら思ったのは(どうしよう・・・)だった。