「あ、教室に財布忘れた」


お昼を食べに図書館に向かう途中にソウちゃんが言った。


「忘れたの?貸そうか?」


あたしが財布を出そうとすると「幹太に持ってきてもらうから」と言って携帯を出した。


しばらく待っていると幹太くんが財布を手に歩いてきた。


「お前、財布の中身3千円ってアホか」


財布を渡しながら呆れた声を出した。



結局3人で図書室でお昼を食べる事になって、幹太くんはまだソウちゃんの金欠をからかっている。


(確かに3千円はないよね・・・)


あたしもちょっと呆れながらお弁当を食べていた。


「別に必要ねーからいいの。余計な金入れて落としたら最悪だろ?」


「その『余計な金』すらなさそうじゃん。そんなんで買えるのか?」


「買える?」あたしが聞くと慌てて幹太くんの口を塞いだ。



何を「買う」んだろう?

不思議に思って見てたけど、ソウちゃんはいつものソウちゃんに戻っているし、幹太くんも「部活の物だから!」とやたらと強調してきた。


サッカーの物って地味に高そうだもんね・・・。

てっきりCDでも買いたいのかと思ったけど、あたしとソウちゃんの好みは一緒だから、どっちかがCDを買ったら焼いてあげるが決まりになってるし・・・。


(何かアルバム出る予定あったかな?)


考えたけど、出る予定のモノはなさそうだ。


この2人はいつもわけがわからないから別に気にする事はないや。

あたしは図書室だってのに元気に喋る幹太くんを眺めながらお弁当を食べ続けた。