「もうダメでしょー、あんな連中についてったりしたら。何されるかわかんないよ?」


子供を叱るみたいに、田代先輩がちょっぴり怒ってみせる。


そんな姿も可愛い中にかっこよさがあり、思わず目を奪われた。


「すいません……」


まさか、田代先輩に助けられてしまうなんて。


嬉しい気持ちと、ひーに対する罪悪感が生まれた。


「反省してるならよろしい。じゃあ、また……」


「……あ、あのっ」


帰ろうとする田代先輩の服の裾を、あたしは反射的に掴んでいた。


自分でも何をしようとしたのかわらない。


驚いたような目であたしを見る田代先輩。


引き止めてしまった以上、何か言わないと……。



「先輩はひーのこと……

中里裕菜のこと好きなんですか……?」



気が付くと、そう問いかけていた。

こんなこと聞いたって、傷つくだけなのに。


田代先輩は、「ええっ!?」とさらに驚き慌てているけど、真っ赤になっている頬があたしの質問に答えていた。