あたしが言うと、高村くんが驚いたように目を見開いた。


「みんなが言ってる通り、あたし最低な人間だもん。ホントは高村くんに庇ってもらう資格なんてないんだよ」


「資格なんていらねえよ。俺が助けたいから助けただけだ!」


「もう、いいって!」


高村くんを上回る大きな声で、あたしははっきりと言った。



「今までいろいろありがとう……高村くん……。
みんなも、本当にごめんなさい……!」



教室を飛び出すと、廊下に香波ちゃんと相沢くんがいた。


「あ、はるひちゃん。おはよ……」


あたしは聞こえなかったフリをして走り去った。


ふたりが手を繋いでたのを見て、胸がぎゅっと苦しくなった。


カレカノと聞いて、頭に浮かぶのは田代先輩とひー。


ふたりの姿を消し去ろうとして、首を横に振ってみたけど消えるどころか鮮明になっていく。


あの田代先輩の電話の内容と、ひーの「私、応援するね」という言葉が、交互に頭の中でリピートされた。


もう……すべてが嫌だ──。